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どのような治療法があるか?

1.専門家の下での治療では、下記の療法が一般的です。

行動療法:行動療法とは、人間の様々な問題行動(特に不適応)は学習されたものであるという見地から、その問題行動を学習によって解消していこうとするものです。場面緘黙症の治療では、系統的脱感作と呼ばれる手法などが用いられます。

(系統的脱感作:まず、不安の程度が低い状況から高い状況までを想定し、不安階層表というものを作ります。そして、十分にリラックスした状態で、最も不安の低い状況を思い浮かべることを繰り返します。繰り返すことで不安は軽減されていきます。不安が低くなったら、次に不安程度が低い状況を思い浮かべます。こうして心の中の不安が解消されたら、今度は不安程度の低い状況から、実際の場面で挑戦していきます。このようにして段階を踏みながら、少しずつ不安を軽減していく療法です。)

認知行動療法:基本的な理念は行動療法と共通しています。特徴としては、行動療法が外に現れた行動の改善を重視するのに対して、認知行動療法は、行動を引き起こしている、不安などの内的要因も治療することを目指します。これは、内的な問題(不安や自己否定など)についてセラピストと共に考え、考え方のパターンを変えていくという過程を必要とするため、子どもの年齢や性格によって、適する場合とそうでない場合があると言えます。

薬物療法:ケースによっては、薬を使うことが効果的であることもあります。この場合、薬物療法と、行動療法やカウンセリングなどの他の療法を組み合わせて行うことになります。使われる薬物は、セロトニン再取り込み阻害剤などが一般的です。

その他:遊戯療法・絵画療法などの心理療法があります。


2.上記の様な治療をすすめると同時に、肝心の学校においても、行われるべき大切なことがあります。

まず必要なのは、親と学校の先生、そして専門家が連携し、チームとして緘黙児に関わる体制を作ることです。そして場面緘黙症についての理解を深め、目的を明確にして治療にあたることが重要です。

場面緘黙症の子どもにとって、最も話をしにくい場所は学校であることが殆どです。つまり、彼らにとっては、学校が最も緊張する状況であるということです。場面緘黙症は不安が引き起こす障害ですから、目指すべきことは、この不安や恐怖を取り除き、自信をつけさせて、環境に適応できるように導くことです。「話すこと」ばかりに注目し、それを治療の目的にしてしまうのは不適切なアプローチです。

子どもの、学校での不安をなくして行くためには、少しずつ段階を踏ませることが大切です。学校内で、どこにいて、誰と、何をしている時に一番リラックス出来るかを考え、そこからスタートして、次第に他の場所・他の人・他の活動でもリラックス出来るようにしていきます。例えば、放課後や早朝などに親が学校に行き、校庭などで子どもの好きな遊びをする、などということから始めることが出来ます。そこでリラックスして子どもが少しでも話し出せば、その一つ一つが子どもの自信になって行くわけです。

教室では、場面緘黙症の子どもがリラックス出来る位置(教室の後方でドアから遠い席)に席をおくこと・一緒にいてリラックス出来る友達を隣に座らせること・質問をする時は、反応しやすい形ですること、などの工夫が必要です。