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こだわる子リス

場面緘黙症の子どもに共通して見られる特徴の中に、「完璧主義である・物事が決まった方法でなされることにこだわる」ということがあります。子リスも類に漏れず、タイヘンな「こだわり屋」です。子リスのこだわりが始まったのは、「魔の2歳」と言われる、あの時期でした。でもまだその頃は、例えば「このお店ではアンパンマンの飴を買う」と(自分で)決めているのにその飴がなかった時、1時間ぐらい泣き続ける、という程度の(!)ものでした。それが、幼稚園年中時代の前半、子リスの「こだわり」はピークに達しました。まず朝の支度の時、髪の毛をとかすのに、鏡台の上に4本の櫛を並べます。そしてその中から、右手に一本、左手に一本持って髪をとかします。次は残った2本をまた右と左の手に持ちます。その次は、最初に右手に持っていた櫛と、2回目に右手に持っていた櫛を使う…という風にして、6通りの組み合わせで櫛を使うのです。もし4本のうち1本でも見つからなかったら大変です。「ないよ。ないよ。どうする!?」と慌てふためき、もう支度が出来なくなってしまいます。夜は夜で、決まり事がいくつもありました。歯磨きをする時は、テーブルの上にアンパンマンの指人形を10個並べて、その人形達に歯磨きを「見学」させる。勿論並べる順番も決まっている。歯磨きが終わったら、人形達に感想を聞く。その日に並べる予定の10個の人形のうち、もし一つでも見つからなかったら…全てがそんな調子でした。その頃私は、「日常生活の中で、スムーズに行くことって殆どない」と感じていました。同じタイプのお子さんをお持ちの方ならおわかりかと思いますが、子リスのこだわりを、「そんなこといいでしょ」で片付けられれば苦労はしないのです。いい加減で諦めさせようとする時の大変さといったら…今思い出してもドッと疲れを感じるほどの労力が必要でした。ハンパでないこだわりを見せる子リスに困り果てながら、「大丈夫なのかしら」と時折心配もよぎりました。一度子リスに、どうして決めたことが出来ないとそんなに大騒ぎするのかと、マジメに聞いてみたことがあります。すると子リスの答えは意外にも「怖いの」とのこと。計画や予想通りでないことが起こりそうな時、どうやら子リスはとても怖く感じるらしいということが、少しわかりました。
それから、このこだわりは、子リスが新しい環境に入れられた時や、初めてのことをする日が近づいて緊張している時に強くなることも段々わかってきました。後で知ったのですが、緊張に対応する手段として、子どもはよく「こだわり」を見せるのだそうです。
このころの子リスは、幼稚園入園後でまさに緊張の真っ只中。こだわりがひどかったのはそういうことだったのですね。でも、なにも櫛を4本使わなくたって…と、思ってしまいますよねえ?