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子リス脱走する

入園式の後2~3日は、午前保育です。11時半に迎えに行くと(子リスの幼稚園は園バスを持たず、親が送り迎えをします。これは園長先生の方針です。)、子リスはニコニコして出て来ました。教室の中でお絵描きをしたり、粘土で遊んだりして楽しく過ごしていた、ということでした。でも「なーんだ、大丈夫そう…」と思ったのは束の間でした。午前保育の期間が終わってお弁当が始まった日、2時に迎えに行くと…2階の教室から、ヒック、ヒックとしゃくり上げながら降りてきたのは子リスでした。主任のK先生が「タイムリミット…」と言いながら付き添って下さっています。9時から2時まで5時間、子リスにとっては相当長い時間だったようです。
それからはもう、幼稚園に行き渋るのが殆ど毎朝のことになりました。なだめたりすかしたりして何とか車に乗せ、幼稚園まで行っても、スキあらば逃げて家に帰ろうとします。物凄い力で私を振り切って走るその逃げ足の速いこと。子リスにしてみれば必死だったに違いありません。最後は泣きながら私に「バイバイ」することになるのですが、先生の話では、それでも子リスは諦めず、その後教室には入らずに、ベランダからじっと園庭を見つめて一日過ごしているということでした。あまりにもずっと、ベランダの格子につかまってしゃがんだままじっとしているので、先生達は、子リスの顔がシマシマに日焼けするのではないかと本気で心配したそうです。

子どもが幼稚園で親と離れたがらない時、親がすることは、なだめる、励ます、叱る、それでもダメなら、残るはやはり「置いて帰る」しかないでしょう。賛否両論あるでしょうが、その場になると、選択肢はそれしかないように思われるものです…。で、私もやってみました。子リスがいつにも増して聞く耳を持たず、どうにもなだめようがなく、にっちもさっちも行かなくなった日に、「じゃあね、ママは帰るから。」と子リスを残し、私は全力で走って車に乗り、帰って来ました。
その後のことは、先生から聞いた話です。子リスは、走り去った私に対する怒りをそこら中にぶちまけ、大好きなF先生にまで悪態をつき、延々と泣き喚いていたそうです。「あんなおうち、もうゼッタイにかえらない!」とまで言ったとか。そして、あまりにも怒った子リスは、先生の手を振り切り、園庭を駆け抜け、幼稚園脱走を試みましたが、柵をよじ登ったところで先生2人に捕獲されたということでした。後になってから、「幼稚園から逃げ出してどうしようと思ったの?」と聞いてみたところ、
「おうちにかえろうとおもったの。」
あんなおうち、ゼッタイにかえらないんじゃなかったんだ。私はちょっと切なくなりました。そんなにおうちがいいんだ…。それからある時は、迎えに行った私の姿を見つけると、子リスはぎゅっと私に抱きついて来て、幼稚園の玄関から駐車場までずっと離れませんでした。そして抱っこしたまま、「どうしてこんなにママのこと好きなんだろう…」。私は、子リスのこの言葉を一生覚えておこう、とその時思いました。
でも、いくら大事な子リスがおうちがよくても、ママのことを好きでいてくれても、ママのそばだけにずっと置いておくわけにはいかないから、少しずついろんな世界に慣れていかなくちゃね…。