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手術

あくる日は手術です。実は、手術の前のことを私はよく覚えていません。というのは、手術室に行く前にする、緊張をほぐすための注射(プレ麻酔?)で、私は既にどろどろに眠くなってしまっていたからです。(お酒に弱い人は麻酔もよく効くんだそうですネ。)
名前を呼ばれて気が付くと、手術は終わっていました。病室に運ばれベッドに載せてもらうと、子リスが枕元にやって来ました。「大丈夫だよ」と言うと頷いて、夫のところに戻り、「パパ、ビッケちょうだい。」とビスケットをねだっています。まだ麻酔が覚め切らず、朦朧とした意識の中で子リスを見ていると、引っ切り無しにビスケットを欲しがっていることに気が付きました。まるでビスケット中毒にでもかかったかのように、「ビッケ、ビッケ」と夫からビスケットをもらっては食べています。お菓子でもご飯でも、そんなに食べ物を欲しがる子ではなかったので、余程お腹が空いているのだろうかと始めは思っていましたが、後で気付きました。
子リスは、おっぱいがないので口寂しかったのです。何しろ子リスは、朝から晩まで、ことあるごとに(なくても)おっぱいを吸って暮らしていたのです。朝目が覚めた。ゴハンを食べ終わった。一つの遊びが終わった。転んだ。どこかにぶつかった。ちょっと疲れた。眠くなった。悲しくなった。あとは、何となくおっぱいのことを思い出した。ありとあらゆる理由で、「パイパイ。」と私のところにやって来ては、勝手にシャツをめくり、チュッチュッと吸って、機嫌を直したり気分転換をしたり、泣き止んだり、一休みをしたりしていたのです。「おしゅくりパイパイ」(どこかを痛くした時お薬になるパイパイ)とか、「きゅうけいパイパイ」、なんて名前の付いたのもありました。その習慣を急に止められたのですから、子リスは(無意識にしても)、随分戸惑ったに違いありません。