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授乳時間割

ところでこの時、私のおっぱいはほとんど出ていませんでした。ほんのちょっと、乳首の先にしずくが3・4滴にじむだけ。初乳には、赤ちゃんに必要な栄養がたくさん入っている、と聞いていたので、少しでもたくさんの初乳をあげたいと思い、一生懸命おっぱいを温めたり、マッサージをしたりしましたが、それでもなかなか出ませんでした。結局病院では、「おっぱいだけでは足りないので、混合栄養になります。」と言われました。私は本当はおっぱいだけをあげたかったので残念でしたが、子リスに十分な栄養を与えられないのなら仕方がありません。指導通り、おっぱいの後に粉ミルクを調合して子リスに飲ませました。病院からは、おっぱいとミルクの「時間割」を渡されます。それには、朝から夜まで3時間ごとに、赤ちゃんにあげるおっぱいとミルクの量が書いてあります。

朝7時:おっぱい 右5分・左5分。
ミルク 40cc

という風に。お母さん達は、その表に従って、時間が来ると赤ちゃんにおっぱいとミルクをあげるのです。まず粉ミルクを哺乳瓶に入れて、ポットのお湯を注ぎ、よく混ざるように振ってミルクが出来たらテーブルの上に置く。それから、タオルでおっぱいを温めてから赤ちゃんを抱っこして、右のおっぱいを5分間、左のおっぱいを5分間、吸わせる。その後、哺乳瓶のミルクを手の甲に出してみて、ちょうどいい温度になっていることを確かめてから、赤ちゃんに飲ませる。
子リスは、やはりおっぱいだけでは足りなかったらしく、ミルクをあげるとすごい勢いでごくごく飲んで、そしてぐっすりと眠ってしまいます。それを見ると、子リスがお腹一杯になったことに安心しながらも、おっぱいが十分出ないことが悲しくて、複雑な気持ちになったものでした。
時々、「おっぱい・ミルクの時間」が来る前に子リスが目を覚まして、ふんふん泣き出すこともありました。そんな時私はどうしてよいかわからず、とにかく「よしよし、よーしよし」とあやして時間を稼ぎ、なるべく決まった時間に近くなってから授乳するようにしました。それから反対に、時間が来ても子リスが起きないこともありました。そんな時もどうしたらいいのかわからなくて、私は看護婦さんに聞いてみました。すると看護婦さんは、「足の裏をくすぐって起こしてください」と言うのです。えっ、赤ちゃんの足をくすぐって起こす?赤ちゃんはそんなに規則正しく食事をしないといけないものなの?それに、いつも時計とにらめっこしながらおっぱいをあげているというのも、何だか変な感じ。授乳について、少しずつ疑問が湧いてきました。
その時のことを思い出すと、自分のことながら苦笑いをしてしまいます。泣いたら、何を置いてもまず抱っこしてあげればよかったのに。どうしてベッドに寝かせたまま、よしよし、なんてやってたのかしら。さっさと抱っこして、おっぱいをあげてみればよかったのに。それから、眠っていたら少しぐらいそのまま寝せておいたってよかったのに。時間が来ちゃった、どうしよう、なんて、なぜあんなに慌てていたのかしら…。
でもまあ、今だからこんなことが言えるけれど、子リスを産んだばかりの頃は、本当に何も知らなかったのです。というより、知らないと思い込んでいたのかもしれません。
本当はおっぱいというのは、はじめは出なくても、赤ちゃんが何度も飲んでいれば出てくるものなのです。そして、おっぱいがたくさん出てくるまで待っていられるだけの力を、ほとんどの赤ちゃんは持って生まれてくるのだそうです。だから、栄養が足りていないことをそんなに心配しなくてもよかったのだけれど、私がそれを知ったのは、だいぶ後になってからのことでした。それに、まだ“おっぱいの真実”を知らない病院も多くて、そのために、おっぱいが出ないとすぐに粉ミルクをあげるようにさせてしまうということも、後でわかりました。私の様に初めてお母さんになった人には、赤ちゃんが泣いた時に、「まず抱っこしておっぱいをあげてみなさい」というキホンを教えてくれる人がいるといいのですが…。