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おっぱいが教えてくれること

私のおっぱいが十分に出るようになったので、子リスは毎日、たくさん、たくさんおっぱいを飲みました。夫は、「パイパイ三昧ってとこだな。」と言います。それから時々、「考えてみればすごいよなあ。自分の体から出てくるものを吸われてるんだぜ。」なんて言ったりもします。でも確かに、赤ちゃんがお母さんの体から出てくるお乳を飲んで、その栄養だけで大きくなって行くのを見るのは、母親にとって大きな喜びであると同時に、とても不思議なことでもあります。

夏が来ました。子リスが生まれてから、もう6ヶ月も経ったのです。子リスの体重は8キロ。生まれた時から4キロ以上も増えました。これも毎日おっぱいをたくさん飲んだお陰というものです。
ある暑い日のことでした。私と子リスは、電車で20分ぐらいのところにある私の実家へ出掛けました。その帰りの電車の中で、子リスはいつもよりぐずっていました。汗をかいたので、家に帰ってから2人でシャワーを浴び、少しお昼寝をしました。そして夕方目をさました子リスは、いつものようにおっぱいを飲み始めましたが、私は、「ン…?」と思いました。おっぱいを飲む子リスの口が、いつもより熱い気がしたのです。おっぱいの吸い方にも、いつもより力がありません。慌てて子リスの熱を計って見ました。38.5℃。こんなに体温が上がっていたなんて。夫は今日に限って出張中です。外は雷雨。私は近くの小児科の先生に電話をかけました。先生は、「それぐらいの熱なら大丈夫。こんな天気の中連れてくることはありませんよ。首筋や股のあたりを冷やして。あまり布団でぐるぐる巻きにしないようにして、様子を見てください。水分は少しづつ、十分にあげてくださいね。」とおっしゃいました。
そこで言われた通り、子リスの首筋などに冷却シートを貼って、薄い布団をかけました。水分と言っても、子リスは相変わらずおっぱいしか飲みませんから、私はとにかく子リスの横に寝て、おっぱいをふくませました。子リスは、おっぱいを口に入れて、かすかに吸っています。いつもなら、5分ぐらいゴクン、ゴクンと力強く飲んだ後、自分でぱっとおっぱいを離すか、そうでなければおっぱいを口にいれたまま眠ってしまうのに、今日は、おっぱいを離しもせず、眠りもせずに、いつまでも弱々しくおっぱいを吸っています。飲んでいるというよりは、ただ口に入れておきたくて吸っている様です。おっぱいを離すのを怖がっているようにも見えます。私はずっと添い寝をして、おっぱいをあげ続けました。おっぱいから伝わってくる子リスの熱はなかなか下がりません。
夜8時を過ぎて、やっと夫が出張から帰ってきました。
「ただいまー。いやー、やっと帰ってきたよー。」
「お帰りなさい。子リスが熱を出したの。」
「えっ!?」夫は着替えもそこそこに、氷枕や赤ちゃん用のイオン飲料などを買いに、また外へ飛び出していきました。
子リスはその晩、おっぱいを少し飲んでは少し眠り、また飲んでは眠り、ほとんどずっと、おっぱいを口に入れたまま過ごしました。夜中には、私のおっぱいはさすがに空っぽになっていました。

窓の外が薄明るくなって来た頃、私は、おっぱいを吸う子リスの口が熱く感じなくなっていることに気が付きました。そっと熱を計ってみると、6度7分。「良かった…。」私はほっと胸をなでおろしました。おっぱいも、空っぽになったと思ったのに、いつの間にかまたたくさん出るようになっていて、子リスは、コクン、コクンと、また元気に飲み始めました。「もう大丈夫」と私は感じます。子リスの生まれて初めての発熱は、新米パパとママを慌てさせたけれど、おっぱいが、いろいろなことを伝えてくれました。