中学時代 その㉑ 受験の朝 [3年生]

私立高校の受験は1月に終わり、そしていよいよ3月2日、本命の県立高校受験の日が来ました。

子リスはいつも通りに朝起きて、いつも通りに朝ごはんを食べて、身支度をして持ち物を確かめて、
「じゃ、行って来ます」と玄関に向かいました。

夫は先に仕事に出ていたので、ちびリスと2人で見送ります。
「おにいちゃん、がんばってねー!」とちびリス。
「とにかく落ち着いてね。とにかく力を出しておいで」と私。
すると子リスは
「はい」
とニッコリ。その顔にはいいカンジの緊張感も浮かんでいます。

子リスが出かけた後、私は子リスの部屋に行き、机周りを点検しました。私に似ず…と言いたいところですが、私の遺伝子をキッチリ受け継いでしまい、忘れ物が多い息子です。さっきちゃんと持ち物チェックをしていたから大丈夫だと思うけど、筆箱とか、受験票とか、置いて行ったりしてないよね…?

忘れ物に関しては全然信頼していないので、その辺をジロジロと点検していたら、机の上に子リスの勉強スケジュール表が目に入りました。
毎日の「やること」を書き込んだ計画表。ノルマを達成した証に、それぞれの日のチェック欄にハンコが押してあります。

…このハンコは、ホームセンターに買い物に行った時にお店の一角に置いてあった「ハンコ自販機」で、自分でデザインして作ったオリジナルハンコで、こんな印影になっています。(¥500でした)計画票の確認印として使おうと考えていたとは。本当に、どこまでもこだわりの強い子です。

よくまあ頑張って、計画に従って勉強したもんだなあ…と思いながら、分厚い計画表の束をめくります。チェック欄には“Done”のハンコ。
ところが最終日、つまり昨夜のチェック欄を見ると、これだけ形が違います。よく見るとそれはハンコではなく、子リスの母印でした。

ああ、一生懸命やったんだな。子リスは自分のプロジェクトをやり切って、母印を押したんだな、と思ったら、涙が溢れて来ました。

たかが受験勉強、されど受験勉強です。しかも、生まれて初めての、受かるか落ちるかの真剣勝負。不安もある中で、よく頑張ったなぁ…いつの間にか、そんな力を付けていたんだなあ。小さい頃の子リスを思い出しながら、しばらくの間子リスの部屋でぼーっとしていました。

子リスは、無事に試験を受けて帰って来ました。
そして有難いことに、第一希望のK高校に合格することができました。
おめでとう、子リス!!!

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