6年生時代 その⑧ 携帯電話と手の怪我

子リスの友達関係について、初めて不穏なものを感じたのは、2学期も終わりに近づいた頃、子リスから「友達が僕の携帯にいたずらをする」と聞いた時でした。世の中にまだスマートフォンは出回っていない時代です。

その頃私は、仕事で遅くなる日が週に2日ほどありました。そんな時子リスは、学校から誰もいない家に帰って来て、そこから遊びに行くことになるため、連絡用の携帯電話を持たせていました。

勿論、ロックをかけて、自由に電話番号を登録したりはできない状態で、子リスが私や夫と連絡をとる必要がある時だけ、持って出かけるようにしていました。

ある時、「メモのところに、友達が変なことを書くんだよね…」

と子リスが言いました。確かに、携帯電話には「メモ帳」という機能があって、そこは自由に何でも書き込めるようになっています。

現代のように、SNSで知らない人とつながったり、情報を拡散されたり…というような恐ろしいことにはなり得ないものでしたが、それでも、勝手に他人のものをいじって困らせるということは、軽い“おふざけ”には思えませんでした。

 

友達が書いた「変なこと」とは何だったのかと聞くと、何かクラスの女の子に関することだったと子リスは教えてくれましたが、書かれたものはすでに子リスが消してしまっていたので、はっきりとはわかりませんでした。
でも私は、書いた内容が悪質なものか、他愛のないものかということよりも、子リスから携帯電話を奪って、からかうようなことを書き込む…という行為自体が怖いことだと感じました。

感じました…が、すぐにそこで先生に相談しよう、とは考えませんでした。この時点ではまだ、夫にすら話さずにいましたが、それは
(子供同士のこと、と考えるべきなのかな。すぐに親が出て行くのは、せっかく友達が出来て、“人並みの”小学生生活を送っているのに、それを台無しにすることになるのではないだろうか。もう少し見守るのがいいのでは…)
そんな風に考えたからだったと思います。
そして、とにかく友達に携帯電話を貸さないことにしなさい、と子リスに話しました。

それでもその数日後、また遊びに行った先でのこと。
何だかんだで結局また携帯電話を出して見せる羽目になり、その後取り上げられた携帯を“返せ、返さない”のやり取りをする中で、皆で学校の外のトイレに入り、そこで子リスは個室に閉じ込められてしまったと言います。そして、外から押さえられているドアを無理に開けようとした時に、鍵の部分の金具で手を切ってしまい、親指と人差し指の間から結出血した状態で家に帰って来ました。

ことの経緯を私に話した後、「大丈夫、大丈夫。」と子リスは言いました。でも私は、子供達が意図的に子リスに怪我をさせようとしたわけではないとは言え、トイレに閉じ込める、その結果怪我をさせる。それはもう悪ふざけでは済まないと思いました。とにかく明日仕事から帰って来る夫に相談しよう。そして担任の先生に言おう。そう思いました。

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