4年生時代 その⑤ 年度初め面談(2)

 さて、4年生最初の面談の日です。昨年までと同じように、「現在の子リスの状態」、それから、これまでの3年間「どういう方針で向き合って来たか」をお話しました。

子リスの現在の状態について:

  ① 喋らないのではなく(つまりやる気の問題ではなく)喋れない。
     ② 本人は、「場面緘黙症」という言葉を知らない。
  ③ 声は出ないが、頷き、首を振るなどで、Yes/Noの質問には答える。
  ④ 表情やジェスチャーで気持ちを伝えようとする。
  ⑤ ★ 放課後、友達と遊びに行くことが増え、学校生活を楽しむようになった。
      (これは3年生での変化なので、今回初めて登場しました!)

これまで大切にして来たこと:

  ① 喋れないことに関して、本人が「病感」を持たないこと。
  ② 喋れなくても、他の手段を使ってコミュニケーションをとる意欲を失くさせない
    こと
  ③ 喋れないことは、子どものほんの一部であることを忘れないこと。
  ④ 何よりも、学校に楽しく通えること。

 そして次に、これからのことについて具体的にどうして欲しいかということを話していきます。昨年までの「具体的なお願い」はこうでした

  ① クラスで全員が一人ずつ発表するような時は、順番を飛ばしたりせず、紙や黒板
    に書くなど、何らかの方法で発表させて欲しい。
  ② 話しかけたり質問をしたり、ということはなるべくして欲しいただ、質問に対
    して声を出して答えられなかった時などには、声を出すことを無理強いしない
    欲しい。
  ③ 本人には、「場面緘黙症」という言葉を使わないのは勿論、「喋れるかな?」な
    どと、本人が意識するようなことを言わないで欲しい。

 今年は・・・
「場面緘黙症という言葉を使わない」、「喋れなくても何らかの方法で発表させて欲しい」

 この2つは、1年生の時から一貫して大事にして来たことで、極端に言えば、この2つさえ守られていれば、後はたいがいのことはどうでもいいほどの重要事項でした。それは今年も変わらず、続けて行きたいと思っていましたので、
 「声が出なくても、何らかの形で皆と同じ課題をやらせていただけたら、と思っているんです。書くなり、何なり、どんな形でもいいので・・・」
と私が言うと、O先生は、こんな風におっしゃいました。

 「そうですか…!実は私、もしかすると今日は、『出来るだけ授業中はあてないように、発表するなどのことはさせないように』というお話も有り得ると思っていたんです。子リスの君のようなお子さんの場合、お家の方がそういうことを希望される場合もありますので。でも、伺って安心しました。」

そしてO先生はにっこりして、
 「では、子リス君には、みんながやることを全部やっていただいていいんですね?」
とおっしゃいました。
 「はい、それはもう!お手数をお掛けすることも多いかと思いますが、できるだけやらせていただきたいんです。」

 喋れなくても、みんながやることは全部やる。これまでは、そこが子リスにとっての精一杯だったと思います。でも今年からは、もうひと踏ん張り…出来たらいいなあと…思っているのですが…ムニャムニャムニャ。
 まだちょっと迷いの中にいる私は、3年生の終わり頃にあったことをO先生に話しました。

 喋れないことを、子リスはもはや困っていないんじゃないか?という心配が出てきていたんです。でも、3年生の最後にN先生から、子リスが、喋れない中でも出来ることを、自分で考えてやろうとしていた、ということを教えていただきました。(3年生時代⑱ 「画用紙と発表」)子供の中には、伸びていこうという力はあるのだと気付かされました。見守ることが大事だと、改めて感じました。でも一方で、周りの人や子リス自身が貼ってしまった「喋れない人」というレッテルを、これ以上強化したくないんです。それで、どうしたらこれから新しいステージに踏み出せるのか?踏み出すことをこちらから促すのか?話すことに対する本人の意識をどうするのか、というところで悩んでいます・・・。

 O先生はじっくり私の話を聞いて下さり、そして、
「いいですか?ちょっと頑張ってもらっても。」
とおっしゃいます。

 頑張らせてみるというのはどういう方法で、どれぐらいのことか、まだこの時点では想像がつきませんでしたが、私は迷いなく、頷く気持ちになっていました。
 「ハイ、お願いします!学校にいる間は先生にお預けしているつもりですので、いろいろやっていただくことが出来たらありがたいと、思ってるんです」
 「わかりました。ではなるべく子リス君に無理のない程度に、少し背中を押してみたいと思います。勿論、様子を見ながら、お母様と相談しながら。」
 「はい、よろしくお願いします!」

 この時ほど、「よろしくおねがいします」という言葉を、それが持つ意味をかみしめながら使ったことはないように思います。

 市の保健センターで、臨床心理士のUさんから、「だいたい、5年生ぐらいを一つの区切りになるかと思います。もし、5年生になった時点で、そこまでの進歩が全く見られない、ということになったら、(治療機関に相談するなど)次のことを考えましょう。」と言われていたことを思い出しました。
 ということは、今年が正念場となるかも知れないのでしょうか。

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