5年生時代 その⑫ 母は分かっていなかったパート2

林間学校から帰って来た子リスに、「どうだった?」と聞いた時、子リスは確かに「楽しかった」と答えたのです。にこにこしていたし、後日もらって来た写真でも、笑顔で写っています。でも、今頃になって子リスはこんなことを言うのです。
「林間学校は、実はあんまり楽しくなかったんだよねー。」

えーっ!?今更そんなこと言う?

「でも子リス、楽しかった、って言ってたよ…」
「いやー、それは『どうだった?』って聞かれたら、答えは『楽しかった』って言うものだから。」

「山」と来たら「川」。
「いってらっしゃい」には「行ってきます。」
「お帰り」「ただいま」
「どうだった?」「たのしかった」
というわけですか…。

じゃあその実、どんな感じだったのよ、林間学校は???

「すごく嫌だったわけじゃないよ。嫌なことがあったわけでもない。でも、ま、フツーかな。普段の学校が少し長くなったくらいの感じ。6年生の修学旅行に至っては、殆んど記憶がない」

私はどうも納得が行きません。

「でもさ・・・子供って、何か行事がある時は、理屈抜きでウキウキ、ワクワクするものじゃないの?例えば運動会とかはどうだったの?」
「あ、運動会は本当に楽しかった。」
「じゃ、林間学校は?」
「長いからね。全部時間が決められていて動くのって、得意じゃなかったから。」

そうだった・・・忘れていました。この子は、自分のコントロールの及ばない場所や時間に対して、ワクワク感ではなく、緊張感や不安を抱いてしまう子だったことを。高学年になって、ある程度喋れるようになったからといって、基本的な性格がそうカンタンに変わる訳はなかったのです。

幼稚園の時が蘇って来ます。
サプライズの園外保育などあろうものなら、朝登園時に
「子リス君、今日はお楽しみがあるんだよ!」
という先生の言葉を聞くや否や、
「おたのしみがいやなの!」
と泣き出し、帰ろうとする子供だったのです。

そしてもうひとつ、自分の胸に手を当てて考えてみましょう。
私は修学旅行やキャンプなどの行事を、心から楽しめたか?ということです。
それは行ってみれば思い出の一つや二つは出来たものですが、それよりも、日常を離れることの不安や気の重さに疲れていた自分が思い出されます。
それでも帰ってくれば「どうだった?」の母の問いには、「楽しかった」と答えていた筈なのです!

一体、こどもは自分の心の動きの、何パーセントぐらいを親に話せるものなのでしょう。

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